
最近、ホームページからの問い合わせが減っている理由として、「ホームページが古くなったから」と考える人は意外と多いものです。
でも、実は原因はそうではなかったりしますので、今回はその理由について書きたいと思います。
問い合わせ数は「掛け算」で決まる
まず、基本的な事ですが、ひとつの数式を紹介します。
問い合わせ数 = アクセス数 × コンバージョン率
こう言われると当たり前に聞こえるかもしれませんが、この掛け算の意味を本当に理解しているかどうかで、Webマーケティングの成果がまったく変わってきます。
たとえば、月に1,000人がサイトを訪れていて、コンバージョン率が1%なら、問い合わせは月10件。同じ1,000人でも、コンバージョン率が3%に上がれば30件になります。
Webマーケティングの担当者ならわかると思いますが、アクセス数を3倍にする労力と、コンバージョン率を3倍にする労力、どちらが大変かと考えれば、答えは自ずと見えてくるはずです。
問題は、ホームページをリニューアルすると、この掛け算のバランスが大きく変わることです。最悪なのが、リニューアル感を出すために見た目を整えるだけのリニューアルをしても、アクセス数は増えないし、最悪コンバージョン率も下がってしまいます。
社長が「いいホームページができた!」と自己満足で喜んだ瞬間に、事業の成長が止まってしまっている可能性があります。
アクセスはあるのに、問い合わせが少なかった事例
10年以上前の話になりますが、サンルーム.COMさんのリニューアルの時の話です。
当時、サンルームやテラス囲いといったエクステリア商品を扱うこのサイトは、現在のように競合もさほど多くなく、SEOが非常にうまくいっていました。ビッグキーワードでの検索順位も高く、アクセス数もかなりありましたので、数字だけ見れば「順調なサイト」でした。
ところが、アクセス数は多いわりに、なぜか問い合わせに繋がっておらずお困りでした。
こういう場合、アクセス解析をするまでもなく、サイトのコンバージョン率の低さが原因なのは明らかです。実際、サイトに来た人が「ここに相談しよう」と思う前に離脱してしまってました。例えば、入口になっているLPの訴求が弱かったり、問い合わせフォームへの導線がわかりにくかったり。せっかく検索で辿り着いてくれた見込み客を穴が空いたバケツのように取りこぼしている状態です。
そこで、SEOの検索順位はなるべく維持しながら、コンバージョン率を上げることを主眼に置いたフルリニューアルを行いました。
優先順位が高い部分から、ファーストビューの訴求の見直し、問い合わせへの誘導強化、信頼性を高めるコンテンツの再構成など改善を行い、結果として問い合わせ数は大幅に増えました。
このとき学んだのは、「アクセス数を増やすより、来た人を逃さない改善の方が結果が出るのが早い」ということです。穴の開いたバケツに、いくら水を注いでも溜まりません。バケツの穴を塞ぐことが最初にやるべきなのです。
見た目を良くしたら、問い合わせが激減した
逆のパターンもあります。
ご相談いただいた社長は「ホームページが古くなってきたのでリニューアルしたい」と考え、知り合いのデザイン会社にしたそうです。デザイン会社はデザインのプロなので見た目を美しく整えることには長けていますので、確かにきれいなサイトが仕上がってきました。その社長も「イメージしてた見た目がいいサイトになった」とかなり喜んだそうです。
ところが、リニューアル後から問い合わせが急激に減り始めました。原因は、見た目を優先したことでサイト構造が大きく変わり、それまで積み上げてきたSEOの効果が薄れてしまったことです。例えば、デザイン優先でパンクズを削除したり、ページのタイトルもシンプルでおしゃれな言葉に置き換えられてました。当然、アクセス数が落ちれば、コンバージョン率が同じでも問い合わせは減ってしまいます。
厳しいことを言うと、リニューアル前のサイトの方が見た目が悪くても「成果という点では優秀だった」のです。見た目は古くても、良質なアクセスを集め、問い合わせを生んでいたビジネスツールでした。それを「きれいにする」ことを優先したことでバランスを壊してしまった失敗例です。
お金でアクセスを買う時代は、もう終わりに近いかも
以前の相談としてはサンルーム.COMさんのように「アクセスはあるのにCVRが低い」ケースが多かったように感じます。
しかし最近は少し変わってきたように感じており、「そもそもアクセスが集まらない」という相談が増えているように思います。競合が増えると、SEOも同じ手法はすぐに真似されます。SEOで上位を取ることが、昔より格段に難しくなっています。
では広告でアクセスを買えばいいかというと、そこも厳しくなっています。リスティング広告のクリック単価(CPC)は年々高騰していて、費用対効果が合わなくなってきた業種が増えています。「広告費を増やせば問い合わせが増える」という時代は、確実に終わりに向かっています。
これはつまり、アクセス数という「掛け算の左側」を増やすこと自体が、難しくかつ高コストになってきたということです。だからこそ、コンバージョン率という「掛け算の右側」を丁寧に育てることの重要性が、以前より増しています。
SNSのバズに一喜一憂していても、問い合わせは増えない
最近気になっていることがあります。SNSで投稿がバズったり、フォロワーが増えたりすることを、Webマーケティングの成果だと捉えてしまっている方が増えているように思えます。
確かにSNSはアクセス数を一時的に増やす力があります。バズれば数日間でサイトへの流入が跳ね上がることもあります。でも、その流入が問い合わせに繋がっているかというと、ほとんどのケースで繋がっていないように思います。
理由はシンプルで、SNSから流入してくるユーザーの多くは「ちょっと気になった」程度の温度感だからです。購買意欲の高い検索ユーザーとは、そもそも層が違います。一時的なアクセスの増加に喜んで、「集客が上手くいっている」と勘違いしてしまうと、本来やるべき地道な改善から目が離れていきます。
余談ですが、SNSのフォロワー数やバズった回数を月次レポートに並べて「成果が出ています」と報告するマーケティング会社が増えているらしい。問い合わせ数との相関を誰も検証しないまま、数字の見栄えだけを追いかけています。それは成果ではなく、成果の幻影だと思います。
アクセスとCVRを、地道に両方育てることが大事
一時的なバズに頼らず、広告費を湯水のように使わず、アクセスとコンバージョン率の両方を、少しずつ継続的に改善していく。地味だし、時間もかかります。でも、これが最も再現性が高く、長期的に問い合わせを安定させる方法だと確信しています。
具体的には、検索意図に合ったコンテンツを丁寧に積み上げてアクセスを育て、同時にサイト内の動線や訴求内容を定期的に見直してコンバージョン率を改善していく。
どちらかだけでは掛け算になりません。両方に手を入れ続けることで、初めて問い合わせが安定的に増えていきます。
「ホームページからの問い合わせが増えない」という状況から抜け出したいなら、まず自分のサイトの「アクセス数」と「コンバージョン率」がそれぞれどうなっているかを把握することから始めてください。どちらがボトルネックかが分かれば、打つべき手は見えてきます。

問い合わせが来ないのは、デザインのせいでも、SEOのせいだけでもありません。掛け算の構造を理解して、地道に両方を育てていくことが、大事なのです。

