
お恥ずかしい話ですが、独立してまもない頃「見た目がかっこいいランディングページを作れば成果が出る」と本気で信じていました。大企業のサイトを眺めては、洗練されたデザインやシンプルなレイアウトに憧れて「ウチのクライアントにもああいうカッコイイものを作ってあげたい」と思っていました。
でも実際、真似して作ったところ結果は散々でした。問い合わせが来ないのでクライアントからはクレームが入り、そのたびに「もっとデザイン力をもっと磨こう」と違う方向に走っていました。今思えば、完全に根本的な問題を勘違いしていたのです。
実際、ランディングページの制作費は、デザイン費だと思っていました。でもクライアントからしたら、利益を生むための投資なのです。この認識のズレが、すべての間違いの出発点だったのかもしれません。
「かっこいいLP」を作って失敗していた話
当時の私がどれだけデザインに固執していたかというと、地方の中小会社への提案でも「大手っぽい雰囲気のLPのほうが信頼感につながりますよ」などと平気で言っていたほどです。当時はWebデザイナーとして独立したばかりで、自分の価値をデザインのクオリティで証明しようとしていました。
もちろん、今でも見た目が悪くていいと考えていません。信頼感のないサイトはマイナスに働くこともあるからです。ただ、デザインが良ければいいという思い込みは完全に間違っていたと今はわかります。
間違いに気づき「そもそもこのLPは、何のためなんだろう」と真剣に考えました。そこから成果も大きく変わっていきました。
大企業と中小企業では、そもそも戦い方が違う
大企業のランディングページがシンプルでも成果が出る理由は、デザインが優れているからではありません。すでに信頼という下地があるからです。
たとえばトヨタや資生堂が新しい商品のLPを出したとき、訪問者はそのページを開いた瞬間に「(信頼できる)トヨタの車だ」という前提を持っています。だからポイントをシンプルに伝えるだけで資料請求などのコンバージョンにつながります。ブランドそのものが営業をしてくれているようなものですね。
では、誰も知らないような中小企業の場合はどうでしょうか。検索広告経由でたどり着いた見込み客は、その会社のことを何も知りません。「この会社は信頼できるのか」「本当に自分の課題を解決してくれるのか」という疑念を持ったままページを見ます。その状態でシンプルでかっこいいだけのLPを見せても、「かっこいいデザインだな」とは思うかもしれませんが、問い合わせのボタンを押す気にはなかなかならないと思います。
さらに言えば、大企業とはターゲットとしている顧客層そのものが違うケースも多いです。大企業が想定しているのは、すでにブランドを知っていて購買意欲のある層。一方、多くの中小企業のLPが対象にすべきなのは、課題は感じているけれどまだ具体的な解決策を探している新規層です。同じ「ランディングページ」と呼ばれていても、話しかけるべき相手も、伝えるべき内容も、まったく異なります。
実際、「大手企業のLPみたいにカッコよくしたい」と依頼されるクライアントは多いものです。憧れとしてそう思うのは全然いいと思いますが、自分たちがすでにそのレベルにあると勘違いしているケースがたまにあります。それは危険な思い込みなのではありますが。
答えはデザインではなくセールストークにあった
私は独立する前に、コピー機などの事務機器のセールスをしていました。自慢ではないですがそこそこの成績を出していましたので、自分の営業力には自信を持っていました。
独立後、どうしてもLPからの問い合わせが増えない状況が続いて、「何かを根本から変えなければ」と追い詰められていた時に、ふと思い出したのが自分が現役だった頃のセールストークです。「あの頃、私はどうやってアポを取って、どうやって契約まで持っていったのか」を改めて思い出してみたのです。
商談の入り方、課題の掘り起こし、共感の示し方、解決策の提示、クロージングへの誘導。営業として染み込んでいたあの流れを、そのままLPの構成に落とし込んでみました。
結果は驚くものでした。それまでゼロだった問い合わせが、月に数十件来るようになったのです。これは自分の考え方は間違っていなかったと確信した瞬間でした。
営業トークをLPに落とし込むための具体的な考え方
社内のトップ営業が無意識にやっていることを分解すると、LP設計のヒントがたくさん見えてきます。
まず最初の入り方、これはファーストビューにあたります。優秀な営業マンは、訪問の冒頭でいきなり商品の話をしません。「こういう課題でお困りじゃないですか」という言葉から入ります。相手の状況を言い当てることで、「この人は私のことをわかってくれている」という感覚を持ってもらうためです。LPのファーストビューも同じで、「何ができるか」ではなく「あなたのこの課題を解決できます」を伝えることが先決です。
そういう意味でもファーストビューが一番重要だと言うこともできます。LPは一度離脱されたら、ほぼ戻ってきません。ファーストビューで「自分ごと」だと感じてもらえなければ、いくら丁寧な説明を書いていても誰にも読まれないまま終わります。だからこそ、ファーストビューのコピーには何パターンも試す価値があります。
その後のページの流れも営業トークと重ねると見えやすくなります。問題提起で課題を言語化し、共感で「あなただけじゃない」と伝え、解決策として自社サービスを提示し、実績やお客様の声で信頼を積み上げ、最後のクロージングCTAで行動を促す。優秀な営業マンが毎日やっていることを、テキストと構成で再現する。それがLPの本質です。
デザインより先に考えるべきこと
デザインの作り込みが不要だとは思いません。見た目は信頼感を補強してくれるし、読みやすいレイアウトは離脱率を下げます。その意味でデザインには確かな役割があります。
ただ、デザインはあくまで「補完するもの」です。主役ではありません。それにもかかわらず、LP制作の現場では、まずデザインの話になることが多いのです。
それ自体は悪くないのですが、「何を伝えるか」が固まっていない状態でデザインの話をしても、成果にはつながりません。
私がもっとも時間を使うべきだと思っているのは、「このサービスは、誰の、どんな課題を、どのように解決するのか」を言語化する作業です。これがクリアになって初めて、キャッチコピーが書けるし、構成が決まり、デザインの方向性も定まります。逆にここが曖昧なまま見た目を整えても、おしゃれだけど伝わらないLPになってしまいます。
コピーは特に、何パターンも試す前提で臨むべきです。自分たちが「これだ」と思ったものが必ずしも顧客に刺さるとは限りません。AIを使えば、ものすごい数のキャッチコピーを考えてくれますが、最終的に判断するのは人間です。見込み客がどんな言葉で課題を検索しているか、どんな表現に反応するかをイメージして考えてみましょう。
LPは泥臭い営業ツールである

LPはかっこいいものではなく、泥臭い営業ツールです。
訪問してきた見込み客に対して、「あなたの課題はこれですよね」「当社はそれをこう解決できます」「実際にこんな実績があります」「だから相談してください」と順番に語りかけるネット上の営業マンです。
デザインより言葉。見た目より構成。大企業への憧れより地道な行動。
中小企業が成果を出すためのLPは、トップ営業が毎日やっていることを文章や写真で再現したものです。私自身、コピー機を売っていたあの頃の営業時代がなければ、そのことに気づくのにもっと時間がかかっていたと思います。
まだ「かっこいいLP」を目指しているなら、一度立ち止まってみてください。あなたの会社で一番契約を取ってくる営業マンは、お客様にどんな言葉をかけているでしょうか。そのトークをそのままLPに落とし込むことが、成果への近道かもしれません。

