成果報酬型リニューアルが失敗するとき・・うまくいく案件といかない案件の、正直な話

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HPリニューアルシナリオ

成果報酬は「リスクがゼロ」ではなく「リスクの分担」です。この違いを最初に理解していただくだけで、プロジェクトの進め方がかなり変わってきます。

成果報酬とは、リスクそのものをなくす魔法ではなく、うまくいかなかったときのリスクをお互いで分かち合う仕組みだということを最初にお伝えしておきたいと思います。

成果報酬ならリスクがない?

成果報酬型のビジネスモデルは、成果が出なければ費用が発生しないという点で、クライアント側にとって心理的なハードルが下がります。だからこそ、「成果報酬でお願いしたい」とご相談してくださる方はとても増えています。

ただ、その言葉の裏に「成果報酬ならリスクが全くないから」という期待があるとき、少し丁寧にヒアリングをする必要が出てきます。

成果報酬でお受けする条件として、こちらが「これはいける」と判断できる案件だけにしています。事前にシミュレーションを行い、LTVや粗利の数字を見て、この構造なら双方が納得できる組み方ができると判断した上で契約します。それでも、うまくいかないことはありますが、そこは事業である以上、避けられない事だと考えています。

そもそも、どんな案件でも成果報酬でやれるわけではない

実際、成果報酬型のプロジェクトとして立ち上がるのは、ご相談全体のごく一部です。

一番多くお断りしてるのが、「広告費は出せないので、SEOだけで集客したい」というケースです。要望としてはよくわかるのですが、成果報酬型のビジネスモデルと組み合わせると、構造的に成り立ちにくいのです。

SEOというのは、じっくりと時間をかけて積み上げていく手法です。コンテンツを作り、検索エンジンからの信頼を少しずつ育てていく。成果が出るまでに6ヶ月、長ければ1年以上かかることも珍しくないです。

その間、こちらは工数と労力をかけ続けているのに、成果報酬型である以上は売上がゼロという期間が続いてしまいます。現実的な問題として、この状態が長引けば長引くほど、プロジェクトの継続が難しくなるのです。

成果報酬型がうまく機能するためには、投資の回収サイクルが見えていることが前提になります。広告費ゼロ・SEOオンリーという条件では、そのサイクルが著しく長くなるか、そもそも見えなくなってしまう。「一緒に頑張りましょう」と言える状態ではなりにくい、ということです。

もちろん、SEO戦略そのものを否定しているわけではありません。SEOは長期的に見れば非常に強力な集客手段ですから。ただそれは、広告と組み合わせたトータルな戦略の中で取り組む話であって、広告費をかけたくないという理由だけであれば少し違います。

それでも、うまくいかないことはある。そのために決めておきたいこと

受けると決めた案件でも、思い通りにいかないことは当然あります。大事なのは、そのときに冷静に動ける準備ができているかどうかだと思います。

① 撤退ラインを最初に決めておく

リスティング広告のプロジェクトであれば、6ヶ月もあればある程度の傾向は見えてきます。だから最初に、「6ヶ月後の目標CPAをXXX円とする。この数字に近づいていなければ、撤退を含めて見直す」という話をしておきます。

これを決めておかないと、「もう少し続ければいけるかもしれない」という感覚でダラダラと続けてしまうことになります。正直に言うと、こちらとしては「この人のためになんとかしたい」という気持ちは本当にあって、それが現場の粘りを生むこともあります。

最初は成果が出ずに苦しむことも多いけれど、この感情があるからこそ、なんとか成果が出るまで持っていけることは実際に多い気がしています。

ただ、情だけでプロジェクトの存続を判断してはいけない。撤退ラインという数字の基準があってはじめて、「まだいける」という判断に根拠が生まれます。

感情はエネルギーを生む、数字は方向を決める。この2つを混同すると、判断が鈍くなると思っています。

② 予算をフルベットしない

「成果を出したいから全予算で取り組みます!」という姿勢は一見真剣に見えるんですが、ビジネスの判断としてはリスクが高いと思っています。

特に広告費に関しては、最初から予算の全額を一つのアプローチに投入するのは避けたほうがいい。最初の仮説が正しいとは限らないからです。どんなに経験を積んでも、市場の反応は動かしてみないとわからない部分はあります。

余白を残してテストマーケティングを繰り返すのが理想です。少額で複数のアプローチを試し、反応が良いものに徐々に投資を集中させていく。全額を最初に使い切ってしまうと、「試す余地」がなくなってしまいます。失敗してもやり直しが効く状態を保つことが、長く続けていくための条件だと思っています。

③ どちらかだけが徳or損をする構造にしない

成果報酬の設計をするとき、まず確認するのがクライアントのLTV(顧客生涯価値)と粗利です。

1件の受注から生まれる粗利がどのくらいで、そこから成果報酬として何割かをいただく設計にする。重要なのは、クライアントが十分に利益を出せることと、こちらが持続可能な報酬を得られることの両方が成立しているかどうかです。

どちらかだけが儲かる構造は、必ずどこかで歪みます。クライアントが「割に合わない」と感じれば関係は続かないし、こちらが赤字を垂れ流しながら続けることも現実的ではないですよね。双方がきちんと利益を出せる設計になっているかを、数字で確認してから決断するようにしています。

「このリニューアルが失敗したら会社が潰れます」という依頼が来たときの話

今でも忘れていない案件があります。初回の打ち合わせで、開口一番にこう言われたんです。「このリニューアルがうまくいかないと、会社が潰れるかもしれません」。

追い詰められた状態での依頼でした。資金的にも精神的にも、もうここが最後の手段、という雰囲気が滲み出ていて。気持ちは痛いほどわかりましたし、なんとかしてあげたいという気持ちも当然ありました。ただ同時に、プロとして冷静に見ると、このプロジェクトを受けることのリスクも見えていました。

追い詰められた状態で始まるプロジェクトは、判断が歪みやすい。人間は余裕がないと、本来やるべき事でも冷静に考えられなくなります。

「とにかく早く結果を出さなければ」という焦りが、マーケティングの基本的なプロセスを狂わせてしまう。また、うまくいかなかったときに立ち直る力がない状態では、撤退の判断もできなくなります。

本来であれば、成果報酬型のプロジェクトに挑むなら、最悪のシナリオを想定した上でも事業が続けられる余裕がある状態が前提だと思っています。ホームページリニューアルに賭けなければならないほど追い詰められているなら、まず足元の経営の立て直しが先ではないか、という話をするべきです。

これは厳しい言い方に聞こえるかもしれないですが、「情で引き受けます」という判断が、結果的にお互いを苦しめることになるケースをこれまで何度も経験してきました。情で受けた案件が双方にとって不幸な結果になることも、正直多いのです。

成果報酬を「万能策」ではなく「戦略の選択肢」

成果報酬型のビジネスモデルは、正しく使えば非常に有効な取り組みだと思っています。クライアントにとってはリスクを抑えながら本格的なマーケティングに取り組めますし、こちらにとっても「成果を出すこと」への真剣さが自然と増す。利害が一致しているからこそ、一緒に走れるんだと思います。

ただ、それはあくまで「条件が揃った案件において」の話です。

事前のシミュレーションで成立の見通しが立っていること。投資の余白があること。撤退ラインを共有できていること。お互いが利益を出せる構造になっていること。これらが揃って初めて、成果報酬での契約は機能すると思っています。

「成果報酬ならリスクがないから」という言葉の裏に、「自分は何もしなくていい」という期待があるとしたら、それはちょっと違います。

成果報酬は、双方が本気で動く前提の上に成り立っています。うまくいく案件には共通して、クライアント側にも「自分たちの事業をさらに育てる」という当事者意識があると思っています。

結局のところ、Webマーケティングで成果を出すのに近道はありません。成果報酬というモデルは、近道を作るためのものではなく、本気でやると決めた人間同士がリスクとリターンを分かち合いながら一緒に走るための仕組みです。

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桑原 敬

この記事を書いた人

桑原 敬(Takashi Kuwahara)

代表/プロデューサー

2003年にフリーランスのWebディレクターとして独立。2006年に株式会社桑原敬事務所を設立し、数多くの企業Webサイトや通販サイトの構築やコンサルティングを手がける。
2006年からレベニューシェアでのWebプロデュースを軸としたビジネスを展開し、これまでコンサルティングを行ったクライアントの中には年商が10倍以上になった実績もある。現在はWeb以外の分野でも、働きかたプロデュースなど幅広い分野で活動を行っている。

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