
デザインや機能に問題なくとも、問い合わせが入らないホームページはあります。
原因としては、デザインがどうこうではなく、本質的なユーザーの背景や検索意図を正しく汲み取っていないのが問題な場合が多いです。
今日は、なぜ「汲み取る力」が重要なのか、そしてどうやって汲み取るのかをお話しします。
AIは答えを出すが、背景を汲み取るのは人間の仕事
今は、AIに質問すれば何でも答えてくれる時代です。
ChatGPTに「ホームページのアクセスを増やす方法を教えて」と聞けば、SEO対策、SNS活用、広告運用など、さまざまな答えが返ってきます。
でも、AIはあなたの背景や質問の意図を能動的に尋ねてくることはありません。
「なぜアクセスを増やしたいんですか?」 「問い合わせを増やしたいのか、それとも認知を広げたいのか、どちらですか?」 「今までどんな施策をやってきましたか?」
こういった、背景を探る質問は、AIはしてきません(少なくとも、今のところは)。
ただ、これは時間の問題で、いつかはAIもそこまで対応するかもしれません。
でも、今はまだ、背景や意図を汲み取るのは人間の仕事なのです。
そもそも汲み取ることができている企業は少ない
正直に言うと、ユーザーの背景や検索意図を汲み取ることができている企業のほうが少ないです。
「うちのお客様は、こういう悩みを抱えている」 「こういう理由で、うちを選んでくれている」ということを理解してない。出来る経営者の方は、直感的にわかっていることが多いのですが、それを言語化できていません。
ここを言語化できていないと、Web制作会社やサイトを担当するスタッフに伝えることができませんので、結果、ホームページに大事な部分が反映されないんです。
だからこそ、私たちのようなプロデューサーが必要とされます。
経営者の頭の中にある「直感」を、言葉にする。そして、それをホームページに落とし込む。
これは、AIには(まだ)できない仕事だと思います。
例えば、当社でリニューアルの相談を受けた場合、私がまず聞くのは「どのようにリニューアルするか」ではありません。「なぜリニューアルが必要なのか」です。
この「なぜ」を徹底的にヒアリングすることに時間をかけます。
リニューアルすることで、どのようなことを実現したいのか。その背景には、どんな課題があるのか。
なぜなら、クライアントが抱えている背景や意図を理解できないと、成果が出るリニューアルはできないからです。
「古く感じる」は主観、データで客観的に見る
よくある相談が、「ホームページを作って5年経って、古く感じるからリニューアルしたい」というものです。
ここで言われている「古く感じる」というのは、主観です。
もし、現在のサイトが以前は問い合わせが多かったのに、今はほとんど入らなくなっているとします。
その原因はどこにあるのか。
アクセス数が同じであれば、サイト側に原因があります。例えば、導線が悪い、提供価値が伝わっていない、競合に比べて見劣りする、など。
でも、そもそもアクセスが減っていたり、ユーザーの質が悪くなっている可能性もあります。
例えば、
- 検索順位が下がって、流入が減った
- 競合が増えて、取り合いになっている
- ユーザーの検索行動が変わった(SNSで情報収集するようになった、など)
こういった場合、サイトをリニューアルしても、問い合わせは増えません。
だからこそ、感覚ではなくデータを確認しながら仮説を立てることが重要なんです。
データを見ずに、主観だけでリニューアルを決めると、何も変わらない場合があります。
これは、前回の記事で書いた「プロダクトアウトな考え方」と同じです。客観的にユーザー視点で考える必要があるんです。
クライアント自身も、本当のニーズに気づいていない?
ヒアリングをしていて感じるのは、クライアント自身が、自分の本当のニーズに気づいていないケースが多いということです。
「ホームページのデザインが古いから、新しくしたい」
と言っているクライアントがいたとします。
でも、よくよく話を聞いていくと、
「実は、競合に負けている気がする」 「営業がなかなか取れなくて、Webで集客したい」 「社内で『ホームページが古い』と言われて、何とかしなきゃと思った」
というような、別の背景が見えてくることがあります。
つまり、「デザインを新しくしたい」というのは、表面的な要望であって、本当のニーズは別のところにあるんです。
メタ認知のスタンスで自分を客観的に見れる人は、多くありません。
だからこそ、私たちのような客観的な視点を持つプロデューサーが必要なんです。
本音を引き出し、言語化する。そして、本当の課題を見つける。
これができて初めて、成果が出るリニューアルができます。
次はユーザー側の背景と検索意図を汲み取る
クライアント側の背景や意図の理解ができたら、次は実際にホームページを見に来ているユーザー側の背景や検索意図を汲み取っていきます。
ユーザーは、何を求めて、どんな背景でホームページに来ているのか。
これを汲み取らないと、小手先のリニューアルでは成果は出ません。
検索キーワードから読み取る
ユーザーの背景や検索意図は、検索キーワードからある程度読み取ることができます。
例えば、
- 「〇〇 価格」で検索している → 比較検討段階。他社と価格を比べている
- 「〇〇 失敗」で検索している → 不安を抱えている。失敗したくない
- 「〇〇 おすすめ」で検索している → 情報収集段階。まだ決めていない
- 「〇〇 口コミ」で検索している → 信頼性を確認したい。第三者の意見を聞きたい
このように、検索キーワードから、ユーザーがどの段階にいるのか、どんな不安を抱えているのかが見えてきます。
そして、その検索意図に合ったコンテンツを用意することが大切です。
「〇〇 価格」で検索している人に、会社概要のページを見せても意味がありません。価格表や、料金プランの比較ページを見せるべきです。
「〇〇 失敗」で検索している人に、商品の良さだけをアピールしても響きません。「よくある失敗例」や「失敗しないためのポイント」を伝えるべきです。
このように、検索キーワードからユーザーの意図を読み取り、それに応えるコンテンツを用意することが、問い合わせを増やす鍵です。
ペルソナに近い人にインタビューする
ただ、検索キーワードだけでは見えない部分もあります。
例えば、
- なぜそのキーワードで検索したのか
- どんな感情を抱えているのか
- どんな言葉に反応するのか
こういった深い部分は、データだけでは見えません。
だから、わからない場合は、ペルソナに近い人にインタビューします。
私たちは、よくあるインタビューのフォーマットを使いながら、その中で印象に残った感情や言葉を言語化していきます。
「なぜこの商品を選んだんですか?」 「どんなことに悩んでいましたか?」 「他社と比べて、何が決め手になりましたか?」
こういった質問を通じて、データだけでは見えない、リアルな声を拾うんです。
そして、その声をホームページに反映させる。
これが、ユーザーの背景を汲み取るということです。
ストーリーとしてつながったとき、問い合わせが生まれる
ここまで、クライアント側の背景とユーザー側の背景を汲み取ることの重要性をお話ししてきました。
では、それをどう活かすのか。
答えは、ストーリーとしてつなげることです。
ユーザーの課題の背景とクライアントの想い(強み)がストーリーとしてつながったとき、問い合わせなどの行動に結びつきます。
例えば、
ユーザーの背景: 「業務効率化したいけど、ITに詳しくないから不安」
クライアントの強み: 「専門用語を使わず、わかりやすく説明することが得意」
これがつながると、
「ITに詳しくない方でも安心してご利用いただけるよう、専任の担当者が丁寧にサポートします」
というメッセージになります。
これは、単に「サポートが充実しています」と言うより、ずっと響きます。
なぜなら、ユーザーの不安(ITに詳しくない)に寄り添い、その不安を解消する提案(わかりやすく説明)をしているからです。
これが、ストーリーとしてつながるということです。
つながっていないホームページは、自己満足のサイト
逆に、つながっていないホームページは、自分が言いたいことをただ書いてるだけの自己満足のサイトです。
「当社は創業50年の実績があります」 「最新の技術を導入しています」 「高品質なサービスを提供します」
たしかに、これらは企業の強みかもしれません。
でも、ユーザーの背景や課題とつながっていなければ、響きません。
もし、他社にはないオリジナル性が高いソリューションを持っているなら、それでも問い合わせは来るでしょう。
でも、ほとんどの企業は、競合が存在します。
競合がいる中で選ばれるためには、ユーザーの課題に寄り添い、その課題を解決できることを伝える必要があるんです。
小手先のリニューアルとは
ここで、改めて「小手先のリニューアル」とは何かを整理しておきます。
小手先のリニューアルとは、以下のようなものです。
- デザインだけ変える:見た目を今風にするだけ
- トレンドを取り入れる:流行りのデザインやレイアウトを真似するだけ
- 競合を真似る:競合がやっているから、同じようにするだけ
これでは、成果は出ません。
なぜなら、ユーザーの背景やクライアントの本当のニーズを汲み取っていないからです。
表面的な変化だけで、本質的な問題は解決していない。
だから、リニューアルしても問い合わせが増えないんです。
本質的なリニューアルとは
では、本質的なリニューアルとは何か。
それは、まず問題を発見して、そこを起点にどのようなリニューアルをすれば成功するかを考える流れです。
前回の記事で書いた「問題解決力より問題発見力」が、ここでも重要になります。
問題を発見できれば、解決策は自然と見えてきます。
でも、問題を見つけられなければ、どれだけデザインを変えても、機能を追加しても、成果は出ません。
だからこそ、徹底的にヒアリングし、データを見て、ユーザーの声を聞く。
その上で、「本当の問題は何か」を見極める。
これが、本質的なリニューアルです。
AIが進化しても残る、人間のWebマーケターの価値
最初に、「AIは背景を汲み取ることを能動的にしない(まだ)」とお話ししました。
では、もしAIがそこまで進化したら、人間のWebマーケターの価値はどこに残るのか。
私は、以下の5つだと考えています。
1. 言葉にならない感情を汲み取る力
クライアントが「なんとなくモヤモヤしている」「うまく言えないけど、何か違う気がする」という曖昧な感覚を、対話を通じて言語化していくプロセス。
これは、AIには難しいです。
なぜなら、言葉にならない感情は、表情や声のトーン、間の取り方など、非言語的な要素から読み取る必要があるからです。
2. 信頼関係に基づく「本音の引き出し」
クライアントが建前ではなく本音を話せる関係性。
「実は社長がこう言っているけど、現場では…」 「正直、予算が厳しくて…」
こういった裏の事情は、信頼がないと出てきません。
AIに本音を話す人は、少ないでしょう。
3. 文脈を読む力
データだけでは見えない、業界の空気感、クライアントの社内事情、競合との力関係、地域性など。
こうした文脈を理解した上での判断は、人間だからこそできます。
4. 決断の責任を負う覚悟
AIは提案はできても、最終的な決断と責任は負えません。
「この方向で行きましょう」と決断し、その結果に責任を持つのは人間だけです。
特に、私たちのような成果報酬型でやっている立場では、この責任は重いです。
でも、だからこそ、クライアントは信頼してくれるんです。
5. 共感と励まし
うまくいかないとき、クライアントを励まし、一緒に考え、伴走する存在。
AIは正しい答えを出すかもしれません。
でも、「一緒に乗り越えよう」という人間的な関係性は作れません。
これらが、AIが進化しても残る、人間のWebマーケターの価値だと思います。
余談ですが、こう考えると、Webマーケターという仕事は、実は「人と人とのコミュニケーション」が本質なのかもしれませんね。
成果を出すには、汲み取る力が必要
長々と書いてきましたが、お伝えしたいことは一つです。
デザインや機能の前に、まず汲み取ること。
クライアントの本当のニーズは何か。 ユーザーの本当の課題は何か。
それらを汲み取り、言語化し、ストーリーとしてつなげる。
これができて初めて、問い合わせが増えるホームページができます。
どうすれば成果が出るのか悩んでいる方へ
もし、あなたが今、
「ホームページをリニューアルしたのに、問い合わせが増えない」 「どうすれば成果が出るのかわからない」
と悩んでいるなら、まず以下を確認してみてください。
1. クライアント(あなた自身)の本当のニーズは何か
- なぜリニューアルしたいのか
- 何を実現したいのか
- 本当の課題は何か
2. ユーザーの背景と検索意図を汲み取っているか
- どんなキーワードで検索しているか
- どんな不安や悩みを抱えているか
- どんな情報を求めているか
3. それらがストーリーとしてつながっているか
- ユーザーの課題と、あなたの強みがつながっているか
- 自己満足のサイトになっていないか
もし、これらが曖昧なら、一度立ち止まって考えてみてください。
そして、もし自分だけでは難しいと感じたら、私たちのような客観的な視点を持つプロデューサーに相談することをおすすめします。
デザインや機能は、あくまで手段です。
本質は、ユーザーの背景と検索意図を汲み取り、それに応えること。
これができれば、問い合わせは自然と増えていきます。
そして、これは、AIには(まだ)できない、人間だからこそできる仕事なんです。

