シニア向けの健康器具の製造販売されているメーカーさまからご相談をいただき、Webマーケティング戦略のご提案をさせていただきましたのでご紹介します。
理想のシニアと出会うためのWebマーケティング戦略を考える
今回、ご相談いただいた健康器具は座ったまま足を動かすことで運動不足や血流を改善する特徴を持った商品で特許を取得されていました。
同じような特徴を持った競合商品はたくさんあり、安い商品であれば数千円の健康ステッパー、大手メーカーの高機能なものであればSIXPADで有名な会社のトレーニングマシンがありました。
それぞれにメリット・デメリットはあるのですが、 共通するユーザーの悩みとしては、「健康維持のため」というインサイトになります。
そういう意味ではスポーツジムも間接的な競合にはなるのですが、「手軽に自宅でできる」「ランニングコストがかからない」という点において、今回は直接的な競合ではないと判断しました。
ターゲットユーザーとしては健康維持に興味がある方全般にはなりますが、あえて高齢者をメインとしました。
理由としては商品的に昔懐かしい感じの木製の器具で、先ほどのSIXPAD Foot Fitのような最先端のマシーンと競合しても勝てませんので、あえてシニアに絞ってのマーケティングがベストだと考えたからです。
また、シニアの方本人だけでなく、その子供世代で「親の健康が気になっている人」のプレゼントニーズまで含めると、ターゲットボリュームはそこそこ広がります。
では、シニアの方のどのような悩みにアプローチすればいいのか考えてみます。
多くの高齢者が抱えているお悩みとしてこのようなニーズがあるとします。
- 運動不足で足の筋肉が衰えている
- 自宅で手軽にできる運動器具を探している
この人たちは、きつい筋トレをしたいわけではなく、「歩けなくならないようにするための予防法」が何かないかネットで探していると思われます。
売り手視点だと忘れがちですが、 多くの人は商品を買いたいからではなく、悩みを解決する方法を知りたくてネットを見ているということです。
売り手目線になるとどうしてもモノの価値を伝えることに一生懸命になりがちですが、そのモノが提供できる価値を伝えることをWebマーケティングの全体像を考える時に忘れてはいけません。
単にモノを所有して満足したいのではなく、お客様は精神的に「満たされること」を求めているのです。
そのためには自分がお客さんの立場だったらと常にイメージしながら集客の全体像を考えましょう。
今回のシニア向け健康器具のWebマーケティング戦略としては、「健康器具のPR」ではなく「◯◯◯◯運動健康法のブランディング」を軸としました。
「◯◯◯◯運動健康法」に興味を持ちそうなユーザーと出会うきっかけを増やすことで、間違いなく商品も売れていくからです。
Webマーケティングの設計図
シニアに伝わるホームページとは
どのような人を集客するかを考えた後は、どう伝えるかを考えます。
ブランドイメージではSIXPADには勝てませんので、あえて同じ土俵で戦わないことが大事です。シニア向けの商品としてのブランドイメージで差別化する必要があります。
ヒアリングでネット以外の販売方法をお聞きした所、コロナ前までは、開発者自身が全国で説明会を行い、直接販売していたそうで、驚くほど高い成約率でした。
これは、聞いてる人の悩みにピンポイントに刺さるプレゼンテーションができるこの方のセンスもあると思いますが、セールストークの雛形があれば、ある程度は再現は出来ると思います。
この健康器具を使えば悩みがどう解決されるか伝えるトークスクリプトをLPやホームページに組み込まないのはもったいないことです。
冒頭のつかみのトークで使うフレーズをキャッチコピーに流用し、実際の説明会で使っているセールストークの流れをホームページ内で再現できればコンバージョン率はあがります。
また、シニアの心はエビデンスだけでは動きませんので、開発秘話の苦労話やスタッフの親近感など、ホームページ内にも熱量があるコンテンツが必要です。
商品イメージ写真にはシニアモデル(素人も可)を使い、「これを使っているから、この人は若々しいんだ」と連想させるようなシーンの撮影を行いましょう。
購入後の同梱物として、手書きのメッセージカードなどで“おもてなしの心”を感じていただくことも大事です。
ユーザビリティとしてシニアが見やすいように文字サイズや余白に気をつける必要がありますし、パソコンではなく、らくらくスマホなどモバイルで見る人も多いと思いますので、わかりやすいレイアウトやボタン配置などにも注意を払いましょう。
ただ、あまりにもお年寄り扱いすると、誰でも自分は若いと思ってますので、やりすぎない程度の親切さを心がけましょう。
これらはあくまで仮説ですので、実際にGoogleアナリティクスやヒートマップなどを確認しながら、アクセス数が多いデバイスに合わせて改善を行う必要があります。
ブランディングの方向性
シニア向けの集客はどうするか
年齢層が高い方向けの広告としては新聞広告など、古くからあるメディアを思い浮かべる方も多いと思います。ただ、最近は新聞広告などでは費用対効果が合わないケースも多く見られます。
それでも、紙媒体の広告を使いたい場合は、新聞のようにユーザー層が広い媒体ではなく、比較的読者層が絞られた雑誌広告などでテストマーケティングを行ってみましょう。
私たちは、シニア向けの商品であってもリスティング広告などネット広告をおすすめします。今のシニアはほとんどの方がスマホやパソコンを持ってますので、インターネットで情報収集している方が増えているからです。
今回は健康関連商品の広告ですので薬事が関係してくると思われます。GoogleとYahooでは審査基準が違いますので、実際に審査に出してみないとわからない部分もありますが、できれば専門家に薬事チェックをしてもらうことをおすすめします。
健康関連のキーワードのクリック単価は高めの傾向ですので、できるだけLPのコンバージョン率を高くしないとCPAが高くなります。
LPのコンバージョン率をあげるためには、検索キーワードに対して、そのお悩みを解決できることをファーストビューでわかりやすく伝える必要があります。わかりやすくというのは、ぱっと見て0.5秒ぐらいで判断できるぐらいのイメージです。
そこで直帰させずに読み進んでもらう工夫をしていけば、コンバージョン率はあがります。
広告用ランディングページの改善案
また、広告では薬事のガイドラインを守っていても病名などのキーワードで広告を出せない場合が多いと思いますので、中長期の集客施策としてはオウンドメディアによるコンテンツSEOをやっていくことも必要です。
オウンドメディアは集客面だけでなく実際にユーザーがどのようなキーワード(悩み)で訪問しているかアクセス解析で把握することで、商品開発に活かすなどリサーチデータとしても使えますのでおすすめです。
オウンドメディア戦略
Webマーケティング顧問のご提案
最近はシニアの方もネットで情報収集していますので、シニア向けのWebマーケティングのニーズは今後も増えていくと思われます。
インスタやTwitterをシニアは見ているのかとよく聞かれますが、大事なのは小手先の集客ではなく、自分たちの事をどう伝えたいかという本質を理解することです。自分たちのことはわかっていそうで、実は意外とわかっていない人が多いからです。
情報を何でもホームページに載せればいいというわけでもありませんし、あくまで見るのは人間なので、その人の事を考えながら、どうやったら自分たちの想いが本当に伝わるのか、興味を持ってもらえるかを考えることが重要なのです。
そのためには、主観だけでなく客観的な視点もうまく取り入れる必要があります。
私たちは営業や経営などの実務経験があるマーケティングの専門家が、企業のWebマーケティング全般をサポートしている会社です。
これまでデザイナーに直接伝えても、意図がうまく伝わりきれないことで思ったような成果が出にくかったり、マーケティングに関わっていた時間を経営戦略や商品開発など本来の仕事に使えるようになります。
世の中の役に立つものを
必要とする人に知ってもらうことで、
世の中が良くなるお手伝いをすることが私たちの仕事です。
私たちのような専門家をセカンドオピニオンとしてうまく活用してください。