プロダクトアウトな考え方ではホームページリニューアルは失敗する

HPリニューアル
HPリニューアルシナリオ

「ホームページを作ってから5年経って古くなったので、そろそろリニューアルしようか」

会議で社長がこのような発言をし、リニューアルを進めた企業の多くは失敗しています。

なぜなら典型的な「プロダクトアウト」の考え方だからです。自分たちの都合でホームページを変えようとしており、顧客が何を求めているのか、どんな課題を抱えているのか、そこの視点が抜け落ちてしまっているからです。

一方で、アクセス解析のデータを見た上で「このページがよく見られているので、そのページで伝えていることを中心に構成したホームページなら、もっと問い合わせが増えるのではないか」といった視点でリニューアルを検討するような企業は、成果が出ます。

これを「マーケットイン」の視点と言いますが、意外とこの視点を持つのは難しいものです。

今回は、プロダクトアウトな考え方がなぜ失敗するのか、そして成果を出すリニューアルには何が必要なのかをお伝えします。

「見飽きた」は誰の視点なのか

毎日見ていると、さすがに飽きてきまして

経営者や担当者の方からこう言われることがあります。たしかに、自社のホームページを毎日チェックしていれば見飽きるでしょう。

でも、あなたの会社のホームページを何度も見ているのは、誰が多いと思いますか?

多くの場合、社員、役員、取引先など関係者だと思います。

誰もが知っている有名企業やメディアサイトであれば、一般のユーザーが何度も訪れるかもしれませんが、中小企業のホームページを繰り返し見ている一般のお客様は、ほとんどいません。

初めて訪れるお客様にとって、あなたの会社のホームページは「初見」です。5年前のデザインだろうが、10年前のデザインだろうが、そんなことは関係ない。その人が知りたいのは、「この会社は自分のが抱えている問題を解決してくれるのか」ということだけです。

トップページ信仰という勘違い

余談ですが、リニューアルの相談を受けると、やたらとトップページの見栄えにこだわる方が多いものです。

たしかにトップページは重要です。でも、多くの人が勘違いしているのは、すべてのユーザーがトップページから入ってくると思い込んでいることです。

実際にアクセス解析を見せると、驚かれることが多いのですが

「えっ、商品ページから入ってくる人が一番多いんですか?」 「会社概要ページがランディングページになってるんですね」

社名検索での流入が多い企業であれば、たしかにトップページから入ってくるユーザーが多いでしょう。でも、検索エンジンから流入してくるユーザーは、自分の課題に関連する個別のページに直接たどり着くことが多いんです。

つまり、トップページだけを今風のデザインにしても、成果にはつながらない。むしろ、よく見られているページ、問い合わせにつながっているページを強化する方が、よほど効果的なんです。

実際にあったプロダクトアウト型リニューアルの失敗例

では、具体的にどんな失敗があるのか。いくつかパターンを挙げてみます。

パターン1:「競合がリニューアルしたからウチも」

これは、本当に多い理由です。

競合他社がホームページをリニューアルした。デザインもかっこいいし、機能も充実している。じゃあウチも負けずにリニューアルしよう、と考える。

でも、ちょっと待ってください。競合がリニューアルした理由は何でしょうか?

もしかしたら、ブランディングの見直しがあったのかもしれません。UI改善でコンバージョン率を上げたかったのかもしれません。ターゲット層を変更したのかもしれない。

そういった明確な理由を理解した上で、それに対抗する形でさらに上をいくリニューアルをするなら、まだわかります。

でも、「競合がやったから」という曖昧な理由だけでリニューアルしても、大抵うまくいきません。自社の課題も、顧客のニーズも見えていないまま、見た目だけを真似してもしょうがないんです。

パターン2:社長の好みでデザインを決める

「僕は青色が好きだから、青を基調にしてほしい」 「シンプルなデザインが好きだから、情報は最小限で」

経営者の好みでホームページを作ろうとするケース、これが最も危険です。

もちろん、社長の想いやビジョンは大切です。でも、ホームページはあくまで顧客とのコミュニケーションツール。顧客が求めている情報、顧客が使いやすいデザインが最優先されるべきです。

「うちの会社らしさ」を出すことと、「社長の趣味」を反映させることは、まったく別の話なんです。

パターン3:デザインを新しくすれば売上が上がるという幻想

「ホームページを新しくしたら、問い合わせが増えますよね?」

こう聞かれることがあります。残念ながら、答えはNOです。

デザインを新しくするだけで売上が上がるなら、誰も苦労しません。経営者だけでなく、担当者レベルでもこの勘違いをしている人は多いです。

ホームページはあくまで「手段」であって「目的」ではない。リニューアルの目的が「デザインを新しくすること」になってしまった時点で、失敗への道を歩んでいます。

マーケットイン視点でリニューアルすると何が変わるのか

では、マーケットイン視点でリニューアルするとは、具体的にどういうことかを、実際にあった事例と一緒にお話しします。

導入事例ページの閲覧増加から見えたこと

あるBtoB向けの事業を行っている企業様のホームページで、導入事例を紹介するページがありました。最初は数ページしかなかったのですが、徐々に事例が増えて数十ページになっていきました。

すると、アクセス解析を見ていて気づいたことがあります。導入事例ページへの流入が、明らかに増えてきていたんです。

ミーティングでクライアントに報告したところ、こんな話をお聞きしました。

「実は今後、中小企業だけでなく、大手企業との取引を増やしていきたいと考えているんです」

つまり、ホームページを見に来ているユーザーは、どのような課題を解決できる会社なのかとともに、取引実績がある会社の規模感も確認しているのではないか。

そう仮説を立て、取引実績がある大手企業のロゴをトップページの上部、目立つ箇所に配置する提案をしました。

結果、直帰率が下がり、資料のダウンロードや問い合わせが増えました。

これがマーケットインの視点です。

データを見て、顧客の行動を読み解き、顧客が求めている情報を適切な場所に配置する。デザインを新しくすることが目的ではなく、顧客の不安を解消し、次のアクションを後押しすることが目的なんです。

データから見えた顧客の「本当のニーズ」

この事例で大切なのは、クライアント自身も最初は気づいていなかったということ。

「導入事例が見られている」というデータがなければ、「大手企業のロゴを目立たせる」というアイデアは出てこなかったでしょう。

顧客は、必ずしも自分のニーズを言語化できるわけではありません。でも、行動には表れる。どのページをよく見ているのか、どこで離脱しているのか、どんなキーワードで検索して来ているのか。

そこにヒントが隠されているんです。

データを見ていない人が多い現実

地方の中小企業の経営者の中には、データをまったく見ずに直感で判断する方が多いです。

「長年この業界にいるから、お客様が何を求めているかはわかっている」 「データなんて見なくても、肌感覚でわかる」

これまではそれでもよかったかもしれません。でも、変化が早い時代に生き残っていくためには、何かしらのデータをもとにした経営戦略を立てることは必須だと私は思います。

流入経路から顧客の課題を読み解く

例えば、流入経路を見れば、ユーザーがどのような課題を抱えているかがわかります。

「〇〇 導入事例」というキーワードで検索して来ているなら、導入事例を探している。つまり、すでに導入を検討していて、実績を確認したい段階。

「〇〇とは」というキーワードなら、まだ情報収集の段階。基礎知識を求めている。

このように、流入経路から逆算すれば、ユーザーがどんな情報を求めているのか、ホームページでどのような提案を行えば価値を感じてもらえるのかが見えてくるんです。

これがマーケットインの視点です。

変化が早い時代、データの重要性は増している

レスポンシブデザインが登場したときのような、ホームページの見せ方における大きな変化は、最近はあまりありません。

でも、ユーザーがどのような動線で入ってくるかは、確実に変化しています。

例えば、最近話題のAIO(AI Overviews)。AIが検索結果をまとめて表示する機能が広がれば、従来のSEOだけでは不十分になるかもしれません。

SNSからの流入、動画からの流入、音声検索。入口は多様化しています。

だからこそ、定期的にデータをチェックして、「今、どこから人が来ているのか」「どのページがよく見られているのか」を把握することが重要なんです。

思いつきでリニューアルするのではなく、データに基づいて判断する。これが生き残る企業の条件だと思います。

リニューアルの目的を明確にする問いかけ

相談をいただいたとき、私が必ず聞くのは「ホームページの目的は何ですか?」という質問です。

多くの方は、ここで初めて気づきます。

「リニューアルすることが目的になってしまっていた」と。

ホームページの目的は、問い合わせを増やすことかもしれないし、採用を強化することかもしれないし、ブランディングを向上させることかもしれない。

その目的が明確になって初めて、「じゃあ、どんなリニューアルが必要なのか」という話ができるんです。

理解されない方には、別の方法を提案する

正直、中にはどうしても理解されない方もいます。

「いや、とにかくデザインを新しくしたいんだ」

そういう場合は、無理に説得しません。代わりに、他の方法があることをお伝えします。

例えば、「言われたままに作ってくれるフリーランスのWebデザイナーもいますよ」と。

私たちは成果を出すことにこだわっているので、成果にこだわらない案件は、別の専門家に任せた方がお互いのためだと考えています。

今日から始める一歩

長々と書いてきましたが、お伝えしたいことは一つです。

思いつきでリニューアルするのではなく、本来の目的を達成する手段としてリニューアルが必要かどうかを考えてください。

そのために、今日からできることは以下の3つです。

1. まずはアクセスを見る

Google Analyticsで、どのページがよく見られているのか、どこから人が来ているのか、まずは現状を把握してください。

データを見れば、顧客が何を求めているのかが見えてきます。

2. 「なぜリニューアルしたいのか」を言語化する

「古くなったから」ではなく、「問い合わせを増やしたいから」「採用を強化したいから」という目的を明確にしてください。

目的が明確になれば、手段も自然と見えてきます。

3. 社内や専門家と目的を共有して手段を考える

一人で考えるのではなく、社内のメンバーや、私たちのような専門家と一緒に話し合ってください。

成果を出すためには、どんな改善が必要なのか。リニューアルが本当に必要なのか、それとも部分的な修正で十分なのか。

一緒に考えることで、最適な答えが見つかります。

ホームページのリニューアルは、手段であって目的ではありません。

プロダクトアウトな考え方ではなく、マーケットインの視点で、顧客が求めているものを提供する。それが成果を出すリニューアルの本質です。

もし、あなたの会社が今、リニューアルを検討しているなら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。

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桑原 敬

この記事を書いた人

桑原 敬(Takashi Kuwahara)

代表/プロデューサー

2003年にフリーランスのWebディレクターとして独立。2006年に株式会社桑原敬事務所を設立し、数多くの企業Webサイトや通販サイトの構築やコンサルティングを手がける。
2006年からレベニューシェアでのWebプロデュースを軸としたビジネスを展開し、これまでコンサルティングを行ったクライアントの中には年商が10倍以上になった実績もある。現在はWeb以外の分野でも、働きかたプロデュースなど幅広い分野で活動を行っている。

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