
最近、「SEOで上位表示させるのが難しくなってきた」という声を、同業者の間でよく聞くようになりました。確かに、AIの普及でSEO用のページを作る手間は減り、明らかにSEO目的のページ数が増えているのは事実です。
ただ、私が思うに、誰もが狙う「ビッグキーワード」は難しくなったが、ニッチなキーワードは、今もまだチャンスが残っているように感じます。むしろ、競合他社がビッグキーワードへの対策に必死になっている今、ニッチキーワードでの上位表示はチャンスなのかもしれません。
そこで今回は、ニッチキーワードでの集客戦略について、私の実感をもとにお話します。
ビッグキーワードでは中小企業はまず勝てない
例えば、「クレジットカード」「生命保険」などといった月間検索ボリュームが1万回以上あるようなビッグキーワードの検索結果を見てみると、上位に表示されているのは大手メディアや知名度が高い企業のサイトがほとんどです。
以前は被リンクなど小手先のテクニックを使えば、アフィリエイトサイトや中小企業でも食い込める可能性はゼロではありませんでしたが、現在は難しいと思います。
さらに近年、AIによるコンテンツ生成が普及し、「それなりに読める内容のページ」を大量に公開するサイトが増えました。Googleもこの状況に対応するためにアルゴリズムを更新し続けていますが、それでもビッグキーワードの上位争いはますます激しくなっています。
こういう状況のなかで、中小企業が取るべき戦略としては、「激しく戦わなくてもコンバージョンが獲得できるニッチキーワードで戦う」のが正解だと思います。
「ニッチキーワード」は検索ボリュームが少なければいいわけではない
ニッチキーワードというと、「検索ボリュームが少ないキーワード」という認識の方が多いのですが、これは少し違います。ただ、検索数が少ないだけのキーワードで上位表示されても、見込み顧客が集まらなければ意味がありません。
私が考えるニッチキーワードの定義は、「競合が少ない × 検索意図が明確 × 成約に近い」の三つが重なるものです。この三つが揃って初めて、狙うべきニッチキーワードと言えます。
特に重要なのが「検索意図の明確さ」です。たとえば「ホームページ 制作」で検索している人は、情報収集段階なのか、制作会社を探しているのか、意図がバラバラです。
一方で「製造業 BtoB ホームページ リニューアル 費用」まで絞り込んで検索している人は、すでにリニューアルを検討していて、具体的な費用感を知りたい段階にいます。後者のほうが成約に近いことは間違いありません。
検索ボリュームを見て「月間100件しかない」と切り捨てるのではなく、その100件がどういう意図で検索しているかを読むことが大事です。
実際にどうやってニッチキーワードを見つけるのか
キーワードの探し方というと、すぐにツールの話になりがちですが、私が一番大事にしているのは「現場の感覚」です。
一番使える情報としては、クライアントへのヒアリング内容です。
例えば、「最近、お客さんからどんな相談が増えていますか?」「問い合わせのメールでよく聞かれることはありますか?」と深堀りしていくと、ホームページには載っていないのに検索されているキーワードの原石が出てきます。
他にも、商談相手や営業担当者が使ってる言葉、問い合わせフォームの質問欄に書かれた文章、これらはそのままニッチキーワードの候補になることが多いです。
たとえば、古いPCの修理・延命を手がける日本ピーシーエキスパートさんというクライアントでは、サービスの特性上、「パソコン 修理」という一般的なキーワードではなく、特定のOS名や機種名とのかけ合わせワードで問い合わせが発生しています。
これは考えてみると当然で、古いPCの修理を依頼したい人は、自分が使っている機種やOSをイメージした状態で検索します。「パソコン 修理」という曖昧な検索ではなく、「自分のパソコンが直るかどうか」を確認したいから、具体的な機種名なども含めて調べるわけです。この検索意図の解像度が高いほど、コンバージョンにつながります。
実際にツールで検索ボリュームを見ると、こういうかけ合わせキーワードは数字が小さくて見落としてしまいがちです。でも実際に問い合わせが発生しているお客様の言葉であれば、数字だけで判断せずにすみます。
ニッチキーワードで1位を取った後に何が起きるか
ここが、ニッチキーワード戦略の一番面白いところです。
アクセス数で見ると、ビッグキーワードの上位ページと比べれば当然少なく、年に数件しかない場合もあります。「こんなに少なくて意味があるのか」と不安になると思いますが、実際の年間の問い合わせ数と成約率を見ると驚きます。
ニッチキーワード経由で来たユーザーは、すでにある程度の緊迫感を持ち、自分のニーズを言語化できている状態です。先程の日本ピーシーエキスパートさんの場合で言うと「古いPCの修理に強い会社を探している」「特定のOSに対応しているかどうか知りたい」という明確な目的を持って検索し、サイトにたどり着いている状態です。
だから、ページの隅々まで読んで「自分の課題を解決してくれそうな会社だ」と判断したら、問い合わせにつながります。
Webマーケティングでよく言われる「アクセス × CVR(コンバージョン率) = 問い合わせ数」という方程式で考えると、ビッグキーワードはアクセス数が大きくてもCVRが低い。ニッチキーワードはアクセスが少なくてもCVRが高い。トータルで見ると、後者のほうが問い合わせ数で勝ることも珍しくありません。
これは私の考えですが、特にBtoBの世界では、この傾向が強く出てきます。BtoBでは、担当者が社内で稟議を通す必要があり、「本当に自社の課題に合っているか」を慎重に確認してから問い合わせをするケースがほとんどです。だから、検索意図が明確なニッチキーワードで来たユーザーの質が高い、ということが起こるのです。
ニッチキーワード戦略が機能しないパターン
ニッチキーワード戦略が機能しないのは、キーワードの問題だけではないことが多いです。
まず、強みが曖昧なケースです。「幅広く対応します」という打ち出し方をしているサイトの場合は、ニッチキーワードで来たユーザーの期待に応えられません。
日本ピーシーエキスパートさんの場合、「古いPCの修理延命専門会社」として特化しているから、特定のOS名や機種名で検索してきたユーザーが「ここなら対応してもらえる」と感じるほどの事例が掲載されています。
このような専門性を証明するものがないと、ニッチキーワードで集客しても問い合わせにはつながりません。
当社でもよくやりますが、ページの質とユーザーの関心が合っているかを判断するのにヒートマップ分析は有効です。ユーザーがどこで読むのをやめているか、どのボタンに反応しているかがわかれば、改善の方向性が具体的に見えてきます。デザインのリニューアルより先に、まずヒートマップを見ることをおすすめします。
専門性と現場経験を持つ中小企業にはチャンス
AIにより競合が増えたことを「SEOが難しくなった」と受け取るか、「ニッチ領域で専門性を持つ会社が有利になった」と受け取るか。私はどちらかといえば、後者だと思っています。
大量のAIコンテンツが溢れ、ビッグキーワードの上位争いが熾烈になっている今、本物の専門性と現場経験を持つ中小企業には、むしろ戦いやすい時代なのかもしれません。
ニッチキーワードで上位表示させることは、それほど難しいことではありません。難しいのは、「自分たちの強みは何なのか」を言語化することです。

そしてその強みをサイトできちんと表現することで、SEOは結果も伴ってくるものだと、私は信じています。

