
最近、クライアントとの打ち合わせで「最近Googleからのアクセスが減ってますよね」と聞かれることが多いです。
実際、自社サイトとクライアントサイトのアクセスをほぼ毎日チェックしている中で、この傾向は1年ぐらい前から明らかに現れてました。原因はAI検索の普及によるゼロクリック化で、特にブログ型コンテンツが影響を受けているようです。
ただ、問題はその「減り方」です。すべてが一律に影響をうけているわけではありません。何が減っていて、何が減っていないのかを正確に把握しないまま「SEO対策をしないと」「コンテンツを増やさないと」と動き始めると、的外れな手を打つことになります。
そこで今回は小手先のテクニックより先に、何が起きているのか本質を整理します。
ブログ記事のアクセスが減るのは、ある意味「当然」だった
Googleで検索したとき、最近は画面の上部にAIがまとめた回答が表示されることが増えました。「経費精算のやり方」「BtoBマーケティングとは」「SEOに強いホームページの特徴」など、こういった検索をすると、ユーザーはGoogleだけで疑問が解消されてしまいます。わざわざ下にスクロールして記事をクリックして見る必要がない。これがいわゆるゼロクリック検索です。
とくにノウハウ系・調べ物系の記事は、AIが代わりに答えてしまっている割合が高いので、ゼロクリック検索の影響をもろに受けています。
これは企業サイトで上位を占めていたお「〇〇とは」「おすすめ〇選」「失敗しない選び方」のようなキーワードで検索されていたお役立ち記事やノウハウ記事が該当します。
これは私の考えですが、そもそもこういったコンテンツは「検索エンジン対策のために作っていた」側面が強かったように思います。
たしかにユーザーの疑問に答えるコンテンツを量産すれば流入が増える時代がありました。その考え方は間違ってませんが、AIという「もっと手軽に答えてくれる存在」が現れた瞬間に、そのページの価値が失われたのだと思います。
悪い話をもう一つ加えると、約5万のB2Bサイトを分析したSEO調査では、73%のサイトで検索流入が減少しているというデータも出ています。逃れられていないサイトのほうが少数派に近い状況なのです。
でも、問い合わせが減っていないサイトがある。
面白いことに、「Googleのアクセスが減った」と嘆くクライアントの中でも、問い合わせの数はさほど変わっていない、というケースがあります。
答えは単純で、減っているのは「情報収集段階」のユーザーであって、「発注を検討している段階」のユーザーではない、ということです。「BtoBマーケティングとは何か」を調べているユーザーは、AIが答えてくれればそれで終わる。
でも「実績のあるBtoBマーケティング会社に相談したい」と思ったユーザーは、具体的なサービスページや事例ページを自分で確認します。
AIは「あなたの会社に頼む理由」は教えられないはずです。実績、担当者の人柄、お客様の声、こういった情報を求めているユーザーは、依然として検索してクリックしてサイトにきます。
これは余談ですが、もともとブログのアクセス比率が多くて問い合わせが少ないサイトは、この変化で表面上の数字が落ちることがあります。一方、最初から「問い合わせに近いページを丁寧に作る」という設計で動いていたサイトは、ブログ流入が減っても影響が小さいものです。コンテンツの量より、コンテンツの「役割」を設計していたかどうかの差が、ここでも出ています。
本質はAI時代も変わっていない。変わったのは「どこで判断されるか」だ
少し視野を広げて考えると、SEOが重要だった時代も、AI検索が普及した今も、本質は変わっていません。「必要とされているときに、信頼できる存在として目の前に現れること」ことこそが集客の本質なのです。
変わったのは、「どの時点で、どの媒体で判断されるか」という点です。以前はGoogleの検索結果ページの上位から選ばれていた。今は、そのさらに手前で、AIが「この会社がよさそう」と推薦するかどうかが問われ始めています。
私がよく使う概念で言えば、「問題発見力」が重要だという話がある。クライアントの問題を正確に発見できる会社は、AIにどう語られるかという文脈でも強いものです。なぜなら、AIは「この会社は何が得意で、どんな課題を解決するのか」を明確に説明できるサイトを引用しやすいからです。逆に、機能説明や数字を並べただけのサイトは、AIにとっても「何の会社かよくわからない」ものです。
「うちはこういうサービスがあります」を並べるだけのプロダクトアウト型の設計では、SEO時代でも苦しかったが、AI時代にはさらに厳しくなります。
「どんな悩みを抱えた人に、何をどう提供するのか」というマーケットインの視点がないと、AIには引用されないし、ユーザーにも刺さりません。
では中小企業は何から手をつけるべきか
まず自社サイトの「どのページが減ったか」を正確に把握する。ブログか、サービスページかで打ち手がまったく変わります。
最初のステップは「対策を打つこと」ではなく「現状を正確に見ること」です。
Googleサーチコンソールを開いて、流入が減っているページを確認してください。それがブログ記事なのか、サービスページなのか、事例ページなのかで、対策がまったく変わってきます。
ブログ記事の流入が減っているなら、それはゼロクリック化の影響であり、ある意味では構造的な問題だと思います。記事を増やしても焼け石に水になる可能性があるので今後は「AIに引用されること」を意識したコンテンツ設計を取り入れましょう。
見出し直後に答えを明示したり、数値と出典を明記する、読者の疑問に一問一答で答えるという方向へのシフトが必要です。
一方、サービスページや問い合わせページの流入が落ちているなら、対策が変わってきます。それはサービス内容やターゲットのズレ、ページの見せ方の問題の可能性が高いからです。広告で補う選択肢も含めて、別の打ち手が必要になります。
私がクライアントに最初に伝えるのは、「アクセスが減ったという事実を嘆く前に、何が減ったかをちゃんと確認してください」ということです。

感情的に「SEO対策を強化しなければ」と動く前に、毎日5分でいいのでデータを確認する。その一手間が、的外れな投資を避けることにつながります。

