
少し前まで、私はクライアントに「SEOで上位にされたらAI対策にもなります」と話していました。
なぜなら、AIはホームページのデータを学習しているので、AIも「Google上位表示のホームページを高く評価する(だろう)」という理屈からです。
でも、それは半分正しくて、半分は誤解だったのかもしれないと最近考えるようになりました。
そこで、なぜSEOとAI対策が別物なのかを整理したうえで、どのような対策をすればいいのかを私なりの視点でお伝えしたいと思います。
GoogleがAI検索を「中心」に据えた
多くの方がご存じかもしれませんが、2025年6月にGoogleはAIモードと呼ばれるAI検索機能をリリースしました。
私が着目したのはGoogleがこのAIモードを「ユーザー体験の中心に据えていく」という方針を明確に打ち出している点です。
これは、将来的にユーザーがGoogleを使う時、キーワードを入力するのではなく、まずAIに質問し、AIが提示した情報を起点に意思決定をするようになる、ということを意味します。
これまではキーワード検索が中心だったのが、今後はAI検索が主流になると、ホームページから問い合わせが来るかどうかは、AIに存在をどう認識されるかどうかで決まるということです。
これは、BtoB・BtoCを問わず、今SEOで集客している企業にとって無視できない大きな変化です。どれだけ優れた商品やサービスを持っていても、AIの回答に表示されなければ、そもそもホームページが存在していないのと同じという時代が、すでに始まっているのです。
私のクライアントには様々な業種がありますが、現在の問い合わせの入り口はほぼ例外なくウェブ検索です。その入り口がAI検索に置き換わっていくとすれば、当社としても大きな影響をうけます。
SEOで上位でも、9割はAIに引用されていない!?
気になるデータを見つけました。
世界最大級のSEO分析ツールであるAhrefsが1万5000件のプロンプトを分析した調査によると、AIが引用するページのうち、Googleで1ページ目に表示されているページはわずか12%だったという結果が出ています。つまり、Googleで上位に表示されていても、約9割のページはAIに引用されていないということです。
このデータを見た時正直驚いたのと同時に、「SEOをやっていればAI対策になる」と言い続けていた自分が少し恥ずかしくもなりました。根拠のない理論でクライアントを安心させていたのかもしれないからです。
それからAI検索が従来の検索と具体的にどう違うのかを深く考えるようになりました。
AIは「キーワード」ではなく「文脈」で答えを探しているようだ
まず、検索エンジンは、ユーザーが入力したキーワードに対して、関連性の高いページを順番に表示するアルゴリズムが基本です。
一方のAI検索はユーザーの状況を読み解き、複数の細かい問いに分解して答えを組み立てているように感じます。
なので、AIは検索エンジンとは違う動きをするのです。ユーザーが「〇〇という状況で、△△について困っているのですが、どうすればいいですか」と入力すると、AIはその文章を複数の細かい問いに分解し、それぞれに対する答えを複数のソースから集めて、まとまった回答として返します。
つまり、AIが引用するのは「このキーワードで上位にあるページ」ではなく、「この具体的な問いに対して、最も的確に答えているページ」になります。
そう考えると、SEO目的で作成されたページより、特定の質問に対してピンポイントで答えているQ&Aのようなページが引用されやすくなるような気がします。これがSEOとAI対策のアルゴリズムの根本的な違いだと思います。
本質的なコンテンツなら、SEOにもAIにも対応できる
SEO目的のページではなく、本質的なコンテンツを地道に積み上げてきたホームページであれば、AI時代にも生き残れると私は確信しています
AI時代に大事なのは新しい施策ではなく、特定の人の問いに誠実に答えているコンテンツだからです。
以前書いたニッチキーワード戦略の記事でも触れましたが、私がクライアントに一貫して伝えてきたのは「月間検索数の多さではなく、自社を本当に必要としている人が見つけたときに探しているのはここだ!と思っていただけるコンテンツを増やしましょう」ということです。これは今に始まった話ではなく、SEO全盛の時代からずっと言い続けてきた考え方になります。
結果的には、この考え方はAI検索対策とも一致しています。なぜなら、AI検索でユーザーが入力するのは「〇〇業界の中小企業で、◯◯を解決したいが、まず何から手をつければいいか」といった、自分の状況を詳しく書き込んだ問いだからです。その問いに答えられるのは、キーワードを詰め込んだだけのSEO記事ではなく、特定の状況と課題に特化したコンテンツだからです。
「広く浅く」より「狭く深く」が、AI時代の基本戦略
AI検索では、ニッチな問いに答えられる専門性と文脈の深いページが引用されやすくなります。
たとえば、製造業向けのWebマーケティングを提供している会社であれば、「製造業 Webマーケティング」という漠然としたキーワードで上位を狙ったページより、「金属加工の中小メーカーが、既存客への依存から脱却して新規問い合わせを増やした方法」というページの方が、AI検索には引用されやすいはずです。なぜなら後者は、AIがユーザーの具体的な問いを分解したときに、ぴったり合致する文脈を持っているからです。
同じことはBtoC業種にも当てはまります。「〇〇 費用」「〇〇 とは」という入門的なコンテンツは、大手サイトや専門メディアにはどうしても勝てません。でも「△△という状況の人が□□を選ぶときに確認すべきこと」という、特定の文脈に深く入り込んだコンテンツは、担当者がひとりの中小企業でも十分に勝負できます。
広く浅くカバーしようとするのではなく、自社が本当に強みを持っている領域に絞り込んで誰にも負けないコンテンツを作ることこそが、中小企業におけるAI戦略だと私は考えています。
では、実際に何から始めればいいか
まず自社の「理想の顧客が抱える具体的な問い」を洗い出すことから始めましょう。
全面的なサイトリニューアルを計画する前にやるべきことは、「自社の理想の顧客は、どんな状況のときに、どんな言葉でAIに質問するのか」を洗い出す作業です。
これは地味な作業ですが、ここをちゃんとやっているかどうかで、コンテンツの質が大きく変わります。「〇〇 おすすめ」ではなく、「〇〇で困っている△△業の担当者が、上司に稟議を通すために必要な情報は何か」というレベルまで掘り下げられると、AI検索に引用されやすいコンテンツが見えてきます。
余談ですが、この作業を担当者一人でやろうとすると行き詰まります。自社のことを知りすぎているゆえに、顧客の「課題」が見えなくなってしまうからです。
そういう時は、営業担当が実際に受けた質問、問い合わせフォームに書かれた文章、商談の場でよく出る懸念点。そういったリアルな言葉をかき集めることが、コンテンツの出発点になります。
今あるコンテンツを一から作り直す必要はありません。まずは顧客の課題を棚卸しして「うちのホームページは、どんな具体的な問いに答えられているか」を確認するところから始めてみてください。答えられていない問いが見えてきたとき、そこが追加すべきコンテンツです。
まとめ
「SEOをやっていればAI対策になる」という考えが誤解である理由を、Ahrefsのデータと検索アルゴリズムの違いから整理しました。Google上位でも9割近くはAIに引用されていない。この事実は重く受け止める必要があると個人的に感じます。
ただ、だからといって今までの取り組みを全部変える必要はありません。特定の人の問いに誠実に答えるコンテンツを地道に積み上げてきたホームページは、AI時代にも評価されます。
新しいことを追いかけるよりも、自社が本当に強みを持っているテーマを絞り込み、そのテーマでは誰にも負けない深いコンテンツを作ること。これが、中小企業がAI検索時代を生き残るための現実的な道筋だと私は考えています。

自社のサイトがAI時代にどう対応できているか、何から手をつければいいかわからない、という方はお気軽にご相談ください。一緒に考えましょう。

