
「SNSもやらなきゃいけないし、AIも勉強しなきゃいけないし、次から次へと新しいものが出てきて、正直ついていくのが大変なんです」
最近、経営者の方とお話ししていると、このような声をよく聞くようになりました。
私自身、Webマーケティングに20年以上携わってきましたが、ここ数年の変化の速さは尋常ではありません。SEOで集客できていたと思ったら、SNSが主流になり、今度はAI検索が台頭してくる。本業の私たちが戸惑ってるぐらいなので、経営者の方が疲弊するのも無理はありません。
でも、こうした変化に振り回されて消耗している企業と、冷静に判断して生き残っている企業がいます。その違いは何なのか気になりませんか?
答えを言うと「軸」です。
軸がある企業は、流行に振り回されません。逆に、軸がない企業は、何をやっても中途半端に終わってしまってます。
今日は、なぜ軸を持つ企業が生き残るのか、そして軸とは何なのかをお話しします。
変化が速すぎて、経営者が疲れている
私がSEOでの集客に強みを持っていたこともあり、今の変化を特に痛感しています。
数年前、BtoC(一般消費者向け)のビジネスでは、SEOだけで十分に集客できていました。でも今は、SNSでの集客がメインになってきている。InstagramやTikTok、YouTubeなど、プラットフォームもどんどん増えていきます。
そして今度は、AIです。
ChatGPTをはじめとした生成AIが普及し、AI検索が今後増えてくると、従来のSEOが有効ではなくなるのではないかと考えています。BtoBはまだSNSの影響が少ないですが、それもいつまで続くかわかりません。
つまり、集客の入口が次々と変わっていく時代なんです。
こうした変化の中で、経営者が陥りがちなのが「周りがやってるから、ウチもやらなきゃ」という焦りです。
「競合他社がInstagramを始めた」 「知り合いの社長がAIを活用してるらしい」 「SNS広告をやらないと取り残される気がする」
たしかに、周りがやっていると焦る気持ちはわかります。でも、ちょっと待ってください。
あなたの会社のターゲットであるお客様は、本当にそのツールを使っていますか?
もしお客様が使っているのであれば、やったほうがいいでしょう。でも、まだ普及していない段階で闇雲に飛びつく必要はありません。
まずは情報収集から始めるぐらいでいいと思います。焦って手を出す前に、「本当にウチに必要なのか」をしっかり見極めることも大切です。
入口は変わっても、人の悩みは変わらない
ただ、ここで一つ大事なことがあります。
集客の入口は変わっても、悩みを解決したいという人の気持ちは変わらないということです。
SEOで検索してくる人も、SNSで情報を探している人も、AIに質問している人も、みんな何かしらの悩みや課題を抱えている。その悩みを解決してくれる企業を探しているんです。
だから、どこが入口になっているかアンテナを張っておく必要はありますが、入口ばかりを気にして、肝心の「悩みを解決する力」がなければ意味がありません。
これが、軸を持つことの重要性です。
流行を追いかけて失敗するパターン
では、具体的に、流行を追いかけて失敗するパターンを見ていきましょう。
パターン1:「みんなやってるから」という理由で始める
これが一番多いのですが
「競合がSNSを始めたから、ウチもやらなきゃ」 「AIが流行ってるから、とりあえず導入してみよう」
理由が「みんなやってるから」になってしまうと、大抵うまくいきません。
なぜなら、自社の強みや顧客のニーズを無視して、ただツールに振り回されているだけだからです。
SNSをやるにしても、何を発信するのか、誰に届けたいのか、それが明確でなければ続きません。AIを導入するにしても、何の業務を効率化したいのか、どんな成果を期待しているのか、それがなければ宝の持ち腐れです。
パターン2:ターゲットが使っていないツールに手を出す
BtoB企業が、若者向けのTikTokに力を入れる。 高齢者がターゲットなのに、Instagramで集客しようとする。
こういったミスマッチも意外と多いです。
ツールが流行っているかどうかではなく、自社のターゲットが使っているかどうかが判断基準です。
もしターゲットが使っていないなら、そのツールに時間とお金を使う必要はありません。他にやるべきことがあるはずです。
パターン3:本業がうまくいってないのに、他の事業に手を出す
これは事業戦略の話なのですが、軸にも通じる話です。
本業がうまくいってないという理由で、他の事業に手を出す企業は大抵うまくいきません。
なぜなら、本業で成果を出せない理由が解決されていないからです。
軸も同じです。自社の強みが何なのか、何を提供できるのかが明確でないまま、あれこれ手を広げても、どれも中途半端に終わってしまいます。
まずは本業で成果を出すこと。軸をしっかりさせること。それが何よりも重要です。
時代は変わる。でも”選ばれる理由”は変わらない
SNSの形式も、広告のアルゴリズムも、検索のトレンドも、AIの使い方も、どんどん変わっていきます。
でも、人が”問題を解決したいという気持ち”は、昔から変わっていません。
この会社は誰のための会社なのか。 何を解決してくれるのか。 他社よりなぜ安心して任せられるのか。
これはどれだけ時代が変わっても同じです。
そしてこの「変わらない部分」こそが、会社の軸になります。
集客はテクニック、強みは本質
集客の手法は、正直、テクニックの要素もあります。
SEOにもコツがありますし、SNS広告にも運用ノウハウがあります。こうしたテクニックは、時代とともに変わっていきます。
でも、自社の強みを作り、それを言語化して伝えていくことは、テクニックではありません。本質です。
そして、本質を磨くには時間がかかります。すぐにはできません。
だからこそ、流行ばかり追いかけるのではなく、まず自社の強みを見直すことが大事なんです。
強みを伝えられているか
集客云々の前に、そもそも自社に強みがあるか、それをちゃんと伝えられているかが重要です。
強みがないのに、いくらSNSで発信しても、広告を出しても、成果は出ません。
逆に、強みがしっかりしていれば、どんな入口からお客様が来ても、選ばれます。
これが、軸を持つことの意味です。
「軸」とは何か
では、具体的に「軸」とは何か。
それは、以下の問いに迷わず答えられる状態です。
- 誰の
- どんな悩みを
- どう解決するか
この3つが明確になっている企業は、何をやるべきか、逆にやらなくていいことまで分かります。
問題解決力より問題発見力
私は以前から、問題解決力より問題発見力が大事だと言ってきました。
問題解決はプロであれば出来るのは当たり前です。でも、問題を発見するためには、お客様視点で考えなければわかりません。
そして、クライアントが「問題」と考えていることは、本当の問題ではないことが実は多いのです。
例えば、「ホームページのアクセス数が少ないから問い合わせがない」と悩んでいる企業があったとします。でも、よくヒアリングしてみると、アクセス数は十分あるのに、問い合わせに繋がっていないだけだったりする。
この場合、本当の問題は「アクセス数が少ない」ことではなく、「サイトの導線が悪い」「価値が伝わっていない」ことになります。
このように、問題の本質が分かれば、解決するのはさほど難しくありません。
逆に、問題の本質を見抜けないまま、やみくもに表面的な施策をしても成果は出ません。
だからこそ、お客様視点で問題を発見する力が重要なのです。
軸がある企業は、流行に振り回されない
軸がしっかりしている企業は、流行の施策を見てもこう考えます。
「うちの強みと相性がいいか?」 「うちの顧客に合うか?」 「やる意味があるか?」
逆に軸が曖昧だと、こうなります。
「みんなやってるから」 「聞いたことあるから」 「流行ってるらしいから」
この違い、わかりますか?
軸がある企業は、自社の基準で判断できるんです。流行に左右されず、冷静に「やるべきか、やらないべきか」を決められます。
一方、軸がない企業は、外部の情報に動かされ続けます。その結果、どれも中途半端になり、「結局うちは何をやるべき?」という迷いが消えません。
軸を持ちながら柔軟に変化した成功例
ここで一つ、成功例をご紹介します。
当社のクライアントである日本ピーシーエキスパート様は、もともと個人向けのパソコン修理を事業とされていました。
でも、時代が変わってきました。パソコンの価格が下がり、修理するより新品に買い替えたほうがコストも安い。当然、個人向けの修理需要は減ってきました。
そこで、この企業が気づいたのは、BtoBでは事情が違うということです。
企業で使っているパソコンは、使用しているアプリケーションやシステムの関係で、簡単に新しいものに入れ替えられないケースが多い。特に工場などで使われている産業用PCは、OSのバージョンが古くても動かし続けなければならないことがあります。
つまり、BtoB向けの産業用PC修理・延命には、まだまだ需要があったんです。
そこで、日本ピーシーエキスパート様は、個人向けから、BtoB向けの産業用PC修理・延命に特化して、売上も回復しました。
これが、軸を持ちながら柔軟に変化した成功例です。
「パソコンの修理」という軸は変わっていません。でも、ターゲットを個人からBtoBにシフトすることで、需要の変化に対応した。
もし軸がなければ、「修理の需要が減った。じゃあ全然違う事業をやろう」と迷走していたかもしれません。
でも、軸があったからこそ、「誰に対して修理を提供するか」を変えるだけで生き残れたんです。
軸がないまま流行を追うと何が起きるか
逆に、軸がないまま流行を追いかけるとどうなるか。
軸がない企業は、「何が問題なのか」が見えていないことが多いです。
例えば、「問い合わせが少ない」と悩んでいる企業があったとします。
「じゃあSNSをやろう」 「広告を出そう」 「ホームページをリニューアルしよう」
こうやって、あれこれ手を出します。
でも、よくヒアリングしてみると、そもそも自社の提供価値が明確でないことが問題だったりします。
お客様から見て、「この会社は何をしてくれるのか」「なぜこの会社を選ぶべきなのか」が伝わっていない。だから問い合わせが来ない。
この場合、いくらSNSや広告で露出を増やしても、根本的な解決にはなりません。
クライアントが「問題」と思っていることは、本当の問題ではない
私がクライアントと話していて感じるのは、クライアント自身が「問題」と思っていることが、実は本当の問題ではないケースが多いということです。
「アクセスが少ない」と思っていたら、実は問い合わせ導線が悪かっただけ。 「デザインが古い」と思っていたら、実はコンテンツの質が低かっただけ。
ヒアリングで問題の本質を見抜けば、解決は難しくありません。
でも、表面的な問題だけを見て、流行の手法に飛びついても、成果は出ないんです。
変化を恐れるな、でも軸を失うな
ここまで読んで、「じゃあ、新しいことはやらなくていいのか」と思った方もいるかもしれません。
それは違います。
私が言いたいのは、「変化するな」ではなく、「軸を持った上で変化しましょう」ということです。
時代に合わせて柔軟に変化することは、生き残るために必須です。でも、その変化が「軸」に基づいているかどうかが重要なんです。
アンテナを張りながら、本質を見失わない
集客の入口が変わっていく中で、アンテナを張っておくことは大切です。
「今、お客様はどこにいるのか」 「どんな情報源を使っているのか」 「どんな悩みを抱えているのか」
これを常にキャッチし続ける必要があります。
でも、入口ばかり気にして、肝心の「自社の強み」「提供価値」を見失ってしまったら本末転倒です。
軸があれば、どこが入口になっても、選ばれます。
逆に、軸がなければ、どこから入ってきても、選ばれません。
だから、軸を持った上で、柔軟に変化していく。これが生き残る企業の条件です。
小手先の集客より、まず軸を見直す
長々と書いてきましたが、お伝えしたいことは一つです。
流行ばかり追わず、まず自分たちの強みを見直してください。
SNSをやるべきか、AIを導入すべきか、それは後で考えればいい。
まず、以下の問いに答えられるか、確認してください。
- 誰の
- どんな悩みを
- どう解決するか
この3つが明確になっていれば、何をやるべきかが自然と見えてきます。
逆に、これが曖昧なまま流行を追いかけても、どれも中途半端に終わってしまいます。
客観的な視点も取り入れる
ただ、自分たちだけで軸を見つけるのは難しいこともあります。
そんなときは、私たちのような客観的なコンサルの視点も取り入れてください。
第三者の目で見ることで、自分たちでは気づかなかった強みや、本当の問題が見えてくることがあります。
成果を出すためには、まず軸を固める。そして、その軸に基づいて戦略を考えていく。
これが、長年、Webマーケティングに携わってきた私が確信していることです

